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FM Festival 未来授業 東京会場1限目「辺境のない生き方」(講師:ヤマザキマリ)に参加してきました

この前の金曜日10月10日に行われた、

FM Festival 未来授業〜明日の日本人たちへ

の東京会場1限目、「辺境のない生き方」(講師:ヤマザキマリ

に参加してきました。参加して感じたこと、共有したい感情を書き残しておこうと思います。

未来授業とは

未来授業というのはTOKYO FMとJFM系列で放送されているレギュラー番組で、番組サイトによれば、

これからの未来を担う若者たちが、様々な問題を抱える社会を生き抜いていくうえで抱えるであろう将来への不安に対して、明るい未来を展望し生きる為のヒントを送り届けたいという思いのもと、FM FESTIVALは2010年度から「未来授業」を開講しています。

「未来授業」は、グローバル化が進む世界の中で変化の本質を見極め、様々な問題を個人の生き方に引き寄せて考えていくために、日本や世界を舞台に第一線で活躍し、時代の礎を築いている「知の先達」達による一夜限りの公開授業を行います。 知性、感性、野性 若い世代の3つのセンスを刺激する、グローバル化の中で自らの立ち位置、足元を見つめ、自らのこととして思考、自らがイノベーションを起こすように触発する、大学の講義では体験できない特別授業です。

とのことです。月曜〜木曜の19:54-20:00と日曜日の7:00-7:30に放送しているので、ぜひ聴いてみてください。ポッドキャストも配信してるので、そちらからまとめて聴くこともできます。考えさせられる内容も多く、勉強になります。(宣伝)

- radiko

- ポッドキャスト

講義について

今回、弟が東京会場の公開授業に応募して当選し、誘われたので参加したのでした。

東京メトロ半蔵門線半蔵門駅で待ち合わせ。皇居方面に進んですぐのTOKYO FMホールへ。

会場に到着すると席は既に半分ほど埋まっていて、少し固い表情の大学生が多かった印象。

講師のヤマザキマリさんは、それまで実は名前を聞いたことがなくて、「テルマエロマエ」の作者であるということを知って「あぁ〜」という感じでした。テーマは「辺境のない生き方」。ご本人が海外暮らしが長かったという紹介文を読んで、「よくあるパターンの話かな」と思っていたのですが、日本の否定と海外のいいところみたいな一面的な話では全くなく、ご本人の稀有な体験を通して得たイタリア的物の見方、また、スティーブ・ジョブズの逸話と関連させ、個人的なアドバイスをもらっているような感覚になる講義でした。

講義自体は、講師の先生の話と、その問いかけに対する受講者の意見で作られていく形で進みます。

その中でも印象に残った質問は、

「親からの重圧を感じたことはありますか?自分の意志で勉強していないと感じたことがありますか?」

それから

「変わっている人間と付き合うことに抵抗はありませんか」

というものです。

まず驚いたのは、はじめの質問に、Noと答えている人が多かったことです。もちろん、僕と弟はYesです(笑)

いみじくも他の方が答えたように、「親からの期待がいつの間にかプレッシャーになっていた。ふと考えてみると親の期待した通りの生き方になっていた。」というところに、Noとは答えられない意識があるのではないかと思いました。そういう意味で、もう少し時間が経てばNoと答えられなくなる人も出てくるのではと思いました。

そして今の日本において、学校でしっかり勉強していい大学に行き、そこそこの一般企業に就職して、平凡に幸せに暮らして欲しい...というのは、親の率直な願いでしょう。わざわざ自分の子供に、しなくていい恥はかかせたくない、そう考える人は多いでしょう。

しかし、ヤマザキさんの次の言葉に、はっとさせられました。

「社会からは社会的立場で既に評価されているのに、親もその社会的立場だけで自分の子供を評価してしまうのか?それだけでしか価値を測れないのか?」

そのとおりだなぁと。いわゆる教育ママなんてのも、他のママ友に恥をかかされたくないから自分の子供に勉強させてるんだと思いますね。「『生まれて来てくれてありがとう』をずっと言い続けるだけで、立派な家族関係はできるんです」という言葉も、そうかもしれないと思いました。

親の期待に応えるのは、確かに一つの親孝行かもしれませんが、自分らしく幸せに生きる姿を見せるのも、大きな孝行になるでしょうね。もう少し自由に生きようと、この一連の話を聴いて思ったところです。

次に、「変わっている人間と付き合うことに抵抗はありませんか」という質問。これは多くの人がYesと答えていました。しかし、反対意見にあったように、一概に「変わった人」といっても、好ましい「変わった人」と、危険な「変わった人」がいるのは確かです。

そこで考えないといけないのは、「変わっている」とは何か、ということです。これは突き詰めれば自分の基準に合わない人、社会(つまり周囲の人間の大多数)の基準に合わない人を指すわけです。先の話で言えば、危険な人というのは、社会から見て変わった人、とも取れるかもしれません。しかし本当はそれだけではわからないことも多くあるとは思うのですが。

続く質問で、自分は変わっていると思うか、という質問に対しても、半分近くの人がYesと答えました。みんなそれぞれどこか「変」で、しかしそれは周りからの評価で決められるものです。

「周りと違う」ことは意識しても、それを矯正する必要があるかどうかはまた別の問題です。ここでスティーブ・ジョブズの例を出して、彼の唯我独尊ともいうべきエピソードと、そしてそのメンタリティを維持させた良いプロダクトへの執着を紹介されました。人と変わっている人、人を不快にさせるような人間でも、あえて取り込んで組織の役に立てようとする、その会社の姿勢は、確かに日本、日本企業に欠けたものであるように思います。日本の就活の状況を見て感じる気持ち悪さはそれをしっかり反映していて、みんな画一的で同じ格好をすることで、企業から「変な人」だと思われないようにしているのです。このような社会である限り、スティーブ・ジョブズのようなイノベーティブな「変人」は、社会で活躍はできないでしょう。日本がこういった国であるのは、閉じた狭い社会で暮らすことに、適応した結果とも取れます。田舎から都会に出てきた大学生が自分の方言を気にします。小さなイントネーションの差も、日本人には分かりますし、それは小さな違いを気にする必要があったからでしょう。土地や資源は限られているのでよそ者には警戒しなければならず、その結果違いに気づく能力に長けたのではないかと、僕は勝手に考えています。講義の中にもありましたが、日本人は外国語を話すのがとにかく苦手です。その理由は、、きちんとした文法で話そう、間違いをしないようにしよう、という気持ちが大きく、自分から話して覚えることをしない人が多いからだと言います。このへんの事情も、先ほど述べたことと関係がありそうな気がしますね。

ここから、話は主題に近づき、「境界のない生き方」というキーワードにつながっていきます。越えていかなければいけない境界というのも存在して、そこを乗り越えて新たな世界に足を踏み入れたとき、初めて得られる体験がある、と。自分の心の中にある様々なボーダーを見直すことで、より成長するきっかけが見つかるのではないか。さまざまな経験を積んできたヤマザキさんだからこそ言える、まさに若い世代のための、いい講演だったと思います。

全体を通して

全体を通して、自分の中で変わったと感じたのは、「恥」に対する捉え方です。能力不足で間違いを犯すこと、失敗すること、そんなことは人間いくらでもしていい。「恥」の文化の中で生きてきた私達日本人にとっては、なかなか難しいことなのかもしれませんが、この部分を改善していくことで、より世界に貢献できる国民になるのではないかと思います。安心してください。誰もがどこかしら「変」です。以前に四角大輔さんの講演を聴いたことがありましたが、その中の言葉で言いかえれば、「みんなイビツ」です。でも、それを直す必要はなくて、それをみんながうまくパズルピースのように補い合うのが「社会」なんだと。自分をワクワクさせてくれるモノを探し続け、こだわり続けること、それが人生を充実したものにするのではと思います。

「可愛い子には旅をさせよ」

「若いうちの苦労は買ってでもせよ」

これらの言葉の言わんとする所もわかってきました。

失敗して、恥ずかしくていたたまれない気持ちになることもあるでしょう、まわりの目が気になってしまうこともあるでしょう。ですが、これからもずっと、いろんなやりたいことに挑戦していきたいです。